八王子市の企業様必見|法人破産の件数・手続き
八王子市は東京都の南西部にある市で、人口は577,513人と東京都にある市のなかでは最多です。都心からは約40キロメートルの場所にあり、東京のベッドタウンとして人気があります。
中央大学や帝京大学など大学が多いため、人口に占める若者の比率が高く、活気ある街でもあります。
八王子市内には19,264の事業所があり、231,984人の従業員が働いています。
八王子市を含む東京都多摩地区では輸送用機械器具、情報通信機械器具、電子部品、デバイスなど製造業が盛んで、八王子市内には製造業の事業所数が1509あり、25,299人が従業員として働いています(参考:八王子市企業立地ガイド)
この記事では、八王子市の企業向けに法人の倒産の手続について解説します。
このコラムの目次
1.東京都の倒産事情
八王子市を含む東京都では年間どれだけの企業が倒産しているのでしょうか。
東京商工リサーチの調査によると、東京都における倒産企業の総件数と総負債額は以下のとおりです。
- 平成29年 1,712件 2,129,114百万円
- 平成28年 1,654件 317,925百万円
- 平成27年 1,797件 898,813百万円
- 平成26年 1,909件 673,252百万円
- 平成25年 2,253件 726,066百万円
- 平成24年 2,470件 1,578,835百万円
- 平成23年 2,506件 589,592百万円
- 平成22年 2,686件 4,583,972百万円
- 平成21年 3,005件 2,642,440百万円
- 平成20年 2,900件 7,704,837百万円
このように、東京都における倒産企業の件数は減少傾向にあり、平成26年以降は毎年2,000を下回っています。ところが、平成29年には数年ぶりに倒産企業数が増加して1,712件となりました。
負債総額も減少傾向にはあるものの、平成29年には磁気治療器販売業者が2405億円という莫大な負債を抱えて倒産するなど大規模な倒産が相次ぎました。
2.会社を清算させるための手続
法人を清算するための手段としては、私的整理と法的整理、民事再生と会社更生などさまざまな方法が用意されています。
会社の状況や残された資産などによって適切な手段をとることが重要です。
(1) 私的整理と法的整理
私的整理とは、破産法、会社法、民事再生法、会社更生法といった倒産法の枠組みの外で行われる手続で、それぞれの関係当事者との任意の合意によって利害調整を進める方法です。
債権者の数が比較的少なかったり、規模が小さかったりする場合や、協議に参加する債権者全員の合意をとることができると考えられる場合に利用される手続です。
一方で、協議に参加した利害関係者全員の同意を取ることができない場合には利用することができません。
一方、法的整理とは、裁判所の監督のもとで破産法などの法律に従って進められる手続で、裁判所を破産に申立てる方法はここに含まれます。
債権者も含めて法律の手続に拘束されるため、画一的な処理のもとで手続を進められるというメリットがあります。
(2) 民事再生と会社更生
法的手続には、会社の資産を全て処分して債権者に分配し、会社を消滅させてしまう「清算型」の手続のほかに、民事再生や会社更生など、いったんは倒産させるものの会社を解散させずに事業の継続を目指す再生型の手続もあります。
会社更生手続は大規模な会社を想定した手続で、民事再生手続は比較的小規模の会社に向いた簡素な手続です。
会社更生手続は、裁判所が選任した管財人に再建業務が一任され、当事者である会社の経営者が関与できないのが特徴です。
会社の財産の処分は全て管財人の主導のもと厳格に進められます。
一方、民事再生手続は会社の経営者が主導となって再生を目指す手続で、経営者が自ら財産の処分を行うことができますし、場合によっては引き続き会社の経営に携わることもできます。
3.法人破産の特徴
法人破産は、個人の破産手続と異なるいくつかの特徴があります。
(1) 倒産すると消滅する
民事再生や会社更生のように会社を存続させず、消滅させてしまうのが法人破産です。
個人の場合は、破産後も法的主体として存続することになりますので、債務を免責させてよいのかどうか、どの部分について免責させてどの部分について免責させないのかなどが問題となります。
他方で、法人は法律によって権利義務とされているに過ぎませんので、破産後は完全に消滅するのが特徴です。
(2) 複雑で厳格な手続が行われる
また、法人は個人と比べて法律関係が複雑で、金融会社のみならず従業員、顧客など多くの利害関係者が関わります。破産時に抱える額も、数千万円、数億円と個人破産の場合とはけた違いとなります。
そのため、法人破産は個人破産よりも厳格で複雑な手続によって行われます。
たとえば、個人破産の場合は配当する財産がなければ「同時廃止」といって破産が開始するとともに廃止となる手続がしばしば利用されます。
一方、東京地方裁判所では、法人破産は原則として破産管財人のもとで財産の処分と配当を行う管財事件とすることとされています。
管財事件では管財人に支払う報酬を予納金として支払わなければならず、倒産企業の負担も大きくなります。
(3) 従業員を保護する必要がある
代表者一人で経営している会社でない限り、会社には従業員がいます。従業員は会社から受け取る給与で生活をしていますので、会社が突然消滅してしまうと生活に困窮するおそれがあります。
そこで、従業員に支払う給与や退職金をどのように支払うかが問題となります。
従業員が有している債権は一般の債権よりも優先的に弁済または配当されることとされています。
会社に資力がない場合には、独立行政法人労働者健康福祉機構という組織が未払いの給料を立替え払いしてくれる未払い賃金立替制度という制度を利用することができます。
代表者や役員の報酬は、従業員の給与と異なり、優先的な債権とされていませんので注意が必要です。
会社が支払い停止の状況に陥ったあとに代表者や取締役に対して報酬を支払うと、後になって取り消される場合があります。
4.裁判所に納める費用
法人破産をするためには、裁判所に納める手数料や予納金を納める必要があります。
東京地方裁判所の少額管財事件の場合、申立て手数料として1,000円、郵券4,100円分、官報広告費として13,197円、予納金として最低200,000円が必要となります。
少額管財事件以外の場合は、郵券が14,100円分となり、予納金の最低額の基準は負債の総額によって異なります。
- 5000万円未満 700,000円
- 5000万以上1億円未満 1,000,000円
- 1億以上5億円未満 2,000,000円
- 5億以上10億円未満 3,000,000円
- 10億以上50億円未満 4,000,000円
- 50億以上100億円未満 5,000,000円
- 100億以上250億円未満 7,000,000円
- 250億以上500億円未満 8,000,000円
- 500億以上1000億円未満 10,000,000円
- 1000億円以上 10,000,000円以上
5.八王子市周辺での法人破産は泉総合法律事務所へ
法人破産は、その手続き方法が難解なこともあり、原則として弁護士に依頼することになると思います。
泉総合法律事務所は、法人破産(会社破産)の処理実績も豊富な弁護士事務所です。八王子市、日野市、相模原市、京王線・中央線・横浜線・八高線沿線にお住まい、お勤めの方は、泉総合法律事務所八王子支店が便利になっています。
法人破産は、会社に資金があるうちに早めに検討することが大切です。法人破産でお悩みの方は、どうぞお早めに弁護士にご相談ください。
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