債務整理

自己破産手続のメリット|任意整理・個人再生との違い

自己破産手続のメリット|任意整理・個人再生と比較、検討

自己破産手続は、借金の支払不能状態に陥ってしまった債務者が、裁判所に借金を免除してもらう債務整理手続です。

債務整理の方法には、他に任意整理や個人再生手続がありますが、それらと比較して自己破産にはどんなメリットがあるのでしょうか?

このコラムでは、自己破産手続が他の債務整理に対して持つメリットを説明します。

1.自己破産手続とは

自己破産手続の申請を受けた裁判所は、債務者が自己破産手続を利用できるか判断した上で、債務者に換価処分して債権者に分配するだけの財産がなく、かつ免責不許可事由もない場合には同時廃止事件、どちらかの事情が一方でもある場合には管財事件として、破産手続の開始を決定します(同時廃止事件では、破産手続の開始と同時に手続が廃止されるので、あとは免責に関する手続だけとなります)

2か月間の債権者の意見申述の期間が設けられるとともに、債務者の状況によっては、管財人によって、債務者が持つ財産の換価・配当や免責不許可事由(原則として免責が認められなくなる事情のこと)の調査などがされます。

最終的に、裁判所が債務者の借金の免除を認める免責許可決定をすると、それから約1か月後に免責許可決定が確定し、これにより、債務者は免責、つまり借金の免除を正式に受けることになります。

決定が出てから確定するまでに約1か月かかるのは、決定を官報に掲載するのに約2週間程度かかり、官報への掲載から2週間は、決定に対する法律上の不服申立期間とされているためです。

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[参考記事]

自己破産のやり方・失敗しない方法

2.自己破産のデメリット

このコラムでは、主に自己破産手続のメリットを説明しますが、その前に、自己破産手続のデメリットについても説明をします。

(1) 財産が処分されてしまう

管財事件では、債権者への配当を実施するため、最低限のものを除く債務者の財産が、裁判所により処分・換価されます。

一方、任意整理や個人再生では、財産の処分は法律上必要ありません(個人再生では、債務者が保有している財産の価値で、再生計画に基づく返済総額が決まるケースがありますが、それもあくまで向こう3~5年かけて分割で支払えばよいのであって、手続の時点でその全額を現実に用意する必要はないものです)

任意整理や個人再生と比較する場合、債務整理を考えている債務者にとってはこれが最大のデメリットであり、自己破産を躊躇する原因となっていると考えられます。

特に、どうしてもマイホームに住み続けたい人は、破産という選択をすることは難しいでしょう。

(2) 免責不許可となるリスク

ギャンブルや浪費などの免責不許可事由があると、法律上の規定では、原則、免責を許可してはならないとされています。

任意整理は、債権者と個別に交渉するだけなので、もちろんこのような規定はなく、また、個人再生にもありません。

もっとも、実務上は、裁量免責と言って、非常に悪質な免責不許可事由がある場合(典型的なものとしては、財産隠し、帳簿の改ざん等)を除き、殆どの場合は(特に初回の破産のケースでは)、裁判所の判断で、免責が許可されています(裁量免責)。

ただし、これが2回目(以降)の破産になると、当然、裁判所の判断は、初回の破産のときよりも厳しくなりますので、破産はしたが借金は免除されない、という事態に陥るリスクはより高くなります。

(3) 資格・職業制限がある場合

破産手続開始決定を受けると、その後に免責許可決定を受ける等して復権するまでの間、弁護士や警備員、保険外交員など、他人のお金に関わる資格や職業が制限されます。

また、会社役員の方が破産決定を受けると、その時点で、一度、役員を退任しなければなりません(退任した後に、株主総会決議で、破産者を役員に改めて選任することは可能です)。

こちらも、自己破産だけに設定された制限です。

(4) 郵便物についての破産管財人のチェック

管財事件では、手続中、破産管財人が、債務者宛の郵便物をチェックします。こちらも、自己破産手続きについてのみ設けられた制度ですが、目的は、財産・負債の調査です。

しかし、財産、債権者をすべて隠さずに自己破産の申立てをしていれば、恐れる必要はありません。

なお、管財人に転送された郵便物については、債権者集会の日に纏めて引き渡されることが多いですが、急ぎ個別に対応する必要のある書類については、管財人の事務所に直接取りに行く、管財人に頼んで代引きで送って貰う等の方法を取ることになります。

(5) 官報に掲載される

政府の機関紙である官報に、債務者の住所氏名が掲載されます。

任意整理では、官報に掲載されることはありませんが、裁判所を通じて行なう個人再生では、同様に債務者の住所氏名が官報に掲載されることになります。

ただ、官報に掲載されたからといって、そのことが理由で周りに自己破産をしたことがバレる可能性は、ゼロとは言いませんが、現実には極めて低いでしょう。

(6) 5~10年は新たな借入ができない

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。これにより、新たな借入やローンを組むこと、クレジットカードの作成が5年から10年できなくなってしまいます(信用情報機関によって期間は異なります)。

しかし、任意整理や個人再生をした場合も、制限される期間の差はありますが、事故情報が登録され新たな借入ができなくなることに変わりありません。
これらは俗に「ブラックリスト入りする」などと言われています。

上述のとおり、ブラックリストの期間に統一の基準はありませんが、任意整理に比べれば、破産や再生の方が、債権者に与える不利益が大きい分、ブラックリスト期間が長期化する傾向にあるといえます。

3.自己破産のメリット

では、自己破産手続の任意整理や個人再生手続に対するメリットは、果たしてどのようなものなのでしょうか。

(1) 原則として返済負担を完全になくすことができる

自己破産手続で免責許可決定が下りれば、一部の例外(税金、罰金、養育費など)を除き、破産手続開始決定時に存在した債務は、完全に支払いを免除されます。

任意整理は、ほとんどの場合、金利の免除や分割回数を増やすことで1回あたりの支払負担を減らすものです。元本を減額することは原則できません。

また、個人再生手続では、元本を含めて返済額が減るものの、返済しなければならないことに変わりはありません

(2) 債権者の意向の影響を受けることがない

自己破産手続では、債権者は、債務者が自己破産手続をすることに直接反対できません
基本的に、裁判所に対して、免責不許可事由があるなどの意見を述べることができるだけです。

一方、任意整理は、裁判所を介せず債権者と個別に交渉するものですから、任意整理を認めてくれない債権者が出てくる恐れもあります。

また、個人再生手続は、手続の種類により、債権者の手続への反対の可否が異なります。

個人再生手続のうち、原則的な手続である小規模個人再生では、債権者の頭数の半数以上の積極的な反対、または、債権総額の過半数を持った債権者(複数人でも可)の積極的な反対があるときは、手続が打ち切られてしまいます。

他方、もう一つの手続である給与所得者等再生では、債権者に拒否権はなく、自己破産手続同様に、裁判所に意見を言うことしかできません。

(3) 収入が全くなくても手続を利用できる

自己破産手続では、原則として借金を支払わなくてよくなるのですから、収入は問題となりません

手続費用が別途必要にはなりますが、生活保護を受けている場合には、日本司法支援センター(法テラス)の援助制度を利用すれば、ほとんど負担しないで済む可能性もあります(現在の法テラスの原則的な運用は、①生活保護受給者以外については、一般的な弁護士費用は立て替えるが、管財事件になった場合の管財人費用は立て替えない、②生活保護受給者については、管財人費用も含めて立て替える、という形になっています)

しかし、任意整理や個人再生手続では、返済負担が残る以上、債務者の収入がその負担に耐えられるのか、慎重な検討が必要となります。
とりわけ、任意整理では、原則として元本を減額できないことから、任意整理の可否の検討をする上でも、収入は特に重要な要素になります。

個人再生手続では、返済が正当な理由なく滞れば、再生計画が取り消されてしまい、借金が減額前の状態に戻ってしまうリスクがあります。

(4) 借金総額に関わらず手続を利用できる

自己破産手続では、借金がいくらあっても免責を受けられます。

任意整理についても同様に借金額に制限はありません。
しかし、個人再生手続では、住宅ローン以外の再生債権の総額が5,000万円以下でなければ、そもそも手続を利用することができません。

4.自己破産手続なら泉総合法律事務所へ

多くの方は、自己破産手続を、社会的な信用を完全に失いかねない非常に危険な借金整理の方法と考えていらっしゃるかもしれません。

確かに、ここまで説明した通り、様々なリスクやデメリットがあることは確かです。
しかし、借金を原則として完全に帳消しにできること、そのため、収入が問題となりにくいことは、他の手続にはない非常に大きなメリットです。

リスクやデメリットも、専門家の適切な助言の元、回避したり軽減したりすることができる可能性もあります。

泉総合法律事務所では、これまで多数の借金問題を、自己破産手続をはじめとした債務整理によって解決してきた豊富な実績がありますので、自己破産をお考えの方はぜひ一度ご相談いただければと思います。

皆様のご来訪をお待ちしております。

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