債務整理

自己破産するとスマートホン(スマホ)やパソコンはどうなる?

自己破産するとスマートホン(スマホ)やパソコンはどうなる?

スマホやパソコンは、現代社会で不可欠となっていますが、高額な財産であるために、分割払いで購入したり、中古市場でも高値で取引されたりすることがあります。

自己破産は、借金全額を支払えなくなった債務者が、財産を裁判所により処分される代わりに、原則として、借金を代表とした全ての金銭支払義務、つまり「債務」(債権者から見れば「債権」)を、原則として全て無くしてもらう債務整理手続です。

その代償に、財産の処分や債権者によるブラックリスト登録などの様々なデメリットもあります。

ここでは、自己破産手続により、スマホやパソコンにどのような悪影響が及ぶのか、その回避策はどのようなものかを説明します。

1.自己破産手続の基本

自己破産手続により借金が無くなることを免責と言い、裁判所が免責を決定することを免責許可決定と呼びます。

(1)手続の種類

自己破産手続には、管財事件と同時廃止という二つの種類の手続があります。

管財事件では、債務者が持つ財産を管理・処分し、債権者に配当し、また、免責不許可事由(債務者を免責することが原則許されなくなる事情のことです)の調査をする破産管財人が、裁判所により選任されます。

同時廃止は、配当や免責不許可事由に関する手続きが不要な場合に利用される簡単な手続です。

(2)自己破産手続での財産の処分

原則として、自己破産手続では、債務者の財産は債権者に配当されるために裁判所により処分されてしまいます。

最も、債務者の生活のため必要不可欠と認められている一定の財産は、「自由財産」と呼ばれ処分されません。

自由財産には、極端な高級品を除いた家財道具一式や99万円までの現金、さらに、特定の財産のうち20万円以下のものです。

(3)免責不許可事由と裁量免責

免責不許可事由があっても、実務上ほとんどの場合は免責許可決定が下りています。

裁量免責と言って、裁判所が債務者の一切の事情を総合考慮して、よほど悪質でない限り、免責をすることが出来るからです。

2.スマホやパソコン共通の注意点 詐害行為

詐害行為とは、免責不許可事由のひとつで、財産を他人に安く売却するなどの行為をさします。詐害行為があると、債権者への配当のもととなる債務者の財産が減少してしまうため、免責不許可事由となっているのです。

経済的に苦しいからといって、パソコンやスマホを安易に売却すると、不当に安い価格で売却したとして詐害行為になりかねません。特に親族に売却した場合には、詐害行為であるとの疑いが強くなってしまいます。

また、破産管財人は、配当財産の確保のために、否認権という権限に基づいて、詐害行為の取引相手に、財産の引き渡しを要求できます。

売却相手にパソコンやスマホの返却を求めた場合、相手に自己破産の事実が知られ、手続に巻き込んでしまうことになります。

借金の返済が苦しくなったからと言って、安易なパソコンやスマホの売却は控えましょう。

3.自己破産したときのパソコンの扱い

自己破産手続の中でパソコンの扱いが問題となる点は、主に債権者へ配当するために裁判所により処分されるかどうかです。

(1)パソコンが処分されるか

パソコンについては、家財道具として価値によらずに自由財産となる場合もありますが、事業用の場合や、極端に高額なものの場合には、自由財産として認められない恐れがあります。

また、パソコンが複数ある場合、1台ごとではなく、全てのパソコンの時価の合計額が20万円以下になるかどうかで判断されてしまいますし、高価な付属品もパソコンと一体の財産とされてしまいます。

(2)パソコンの処分を回避するには

自由財産として認められなかったパソコンであっても、手元に残すことが可能な場合があります。

債務者が他の自由財産や手続開始後の収入(新得財産と呼ばれ、手続の対象にならず処分されません)の時価相当額を支払うことが出来た場合です。

4.自己破産したときのスマホの扱い

スマホに関しては、本体自体は自由財産としては認められるでしょうから、通信料や、ほとんどの場合、通信料と一体となって支払われているスマホ本体の代金の分割払いが問題となります。

通信料の延滞額、本体の代金も完済済みの場合には、心配は無用です。通信料は債務者の生活のために必要な支出ですので、支払っても偏頗弁済となりませんので、従来通り通信料を支払い、スマホを使用し続けることが出来ます。

自己破産手続の際に問題が生じてしまう恐れがあるのは、

  • 通信料の滞納がある場合
  • スマホ本体代金の分割払いが終わっていない場合

です。以下、それぞれについて詳しく説明します。

(1)通信料滞納がある場合

滞納した通信料は、自己破産手続による免責の対象となります。

債務者からすれば、支払わなくてよくなるわけですが、債権者である携帯会社からすれば、請求ができなくなってしまうわけです。そのため、携帯会社は、スマホの契約を解約してしまいます。

なお、携帯会社だけを自己破産手続から除外することはできません。債権者平等の原則と言って、裁判所を利用する自己破産手続などでは、債権者たちを公平に取り扱わなければならないとされているからです。

裁判所に債権者を申告するために提出する債権者一覧表にわざと債権者を記載しないと、免責不許可事由に該当します。

また、手続前に滞納した通信料だけを全額返済してしまうことも債権者平等の原則に反しますので、偏頗弁済と呼ばれる免責不許可事由の一つとなってしまいます。

(2)スマホ本体代金の分割払いが終わっていない場合

スマホ本体代金の分割払は、借金をしてスマホ本体を購入し、分割して返済しているものです。ですから、たとえ延滞がなくても、一般的な借金と同じように扱われてしまいます。

携帯会社に解約されてしまうことや、携帯会社を手続から除外できないこと、分割払いの残金を一気に返済してしまうと偏頗弁済になる恐れがあることは、滞納している通信料の場合と同じです。

なお、スマホ本体を所有し続けることはできます。

5.スマホの解約を回避するためには

(1)わずかな金額で返済する

偏頗弁済とは、杓子定規に決まるものではなく、裁判所の判断次第では、特定債権者への優先弁済があっても、他の債権者への損害はないとして、偏頗弁済ではないとみなしてくれることもあります。

特に、金額が少額で、かつ、債務者の生活に必要な出費については、裁判所が見逃してくれる可能性が高くなります。

とはいえ、必ず裁判所が見逃してくれるとは限りません。少額でも、債権者平等の原則に反する支払いとなってしまうことに変わりはないからです。

弁護士に滞納通信料やスマホ本体代金の残額を、携帯会社からの請求書などの明確な証拠資料を見せながら伝え、その助言に従ってください。

(2)親族などに代わりに支払ってもらう

債務者以外の第三者が代わりに支払いをしてしまえば、偏頗弁済の問題は生じません。第三者が特定の債権者への返済を肩代わりした場合、債務者の財産は減りませんから、他の債権者への配当が減ることはないからです。

このように、他人に自分が支払うべきお金を支払ってもらうことを、第三者弁済と言います。実務上は最もよく使われる手段で、たいていの場合は、親族に支払ってもらうことになります。

ただし、特に同居の家族の場合に問題となりやすいのですが、債務者のお金を親族名義で支払っているだけで、実質的には偏頗弁済ではないかと疑われる恐れがあります。

第三者弁済のためのお金の出所を明らかにする資料を保存することを忘れないようにしてください。

6.スマホを解約されてしまった場合には

(1)従来の携帯会社との契約はできない

通信料を滞納したまま、あるいは、分割代金を支払いきれないまま自己破産手続をしてしまった場合、相手の携帯会社の社内データベースに、債務者が自己破産をした事実が登録されてしまいます。

この登録は、いつまでたっても消えることはないと言われています。そのため、従来の携帯会社との再契約はあきらめた方がよいでしょう。

(2)他の携帯会社との契約は時間がかかる

ほとんどの携帯会社は、債務者の通信料滞納や分割代金不払いの情報を共有する信用情報機関に加盟しています。そのため、少なくとも通信料を滞納していた場合には、免責されるまで、他の携帯会社とも契約をすることはできません。

さらに、あくまで借金である本体代金の残金も免責されてしまった場合には、一般の借金と同じブラックリストに登録されてしまいます。

そのため、少なくとも5年間はどの携帯会社とも契約できなくなってしまいます。

(3)自己破産後すぐにスマホを使うためには

自己破産後すぐにスマホを使える手段としては、プリペイド携帯を利用することがあげられます。

プリペイド携帯は通信料を先払いしてスマホを利用するものですから、信用情報の審査もゆるく、自己破産後すぐでも、問題なく利用できる可能性があります。MNP転入制度を利用すれば、電話番号を引き継ぐことも出来ます。

もっとも、業者によっては上記で説明した様々な信用情報機関をしっかり確認するところもあります。弁護士と相談し、携帯会社の窓口で確認をしてから、プリペイド携帯を購入してください。

なお、自己破産前から使用していたスマホがSIMフリーである場合、SIMカードを交換すれば、同じスマホを利用継続できます。

7.自己破産後もスマホやパソコンを使い続けたい場合

情報社会となった現代においては、単なる電話やメールだけでなく、SNSなどのコミュニケーションや新聞雑誌、動画などを閲覧するためにも、パソコンやスマホは不可欠となっています。そのため、財産の処分や偏頗弁済において、ある程度は裁判所もパソコンやスマホについて寛容なところがあります。

しかし、パソコンやスマホは最先端の技術の塊であり、その価格は年を経るにつれ高額となり、無視できない価値を持つ財産となっています。

また、通信料や本体代金の分割払いに関する問題は、決して甘く見ることができるものではありません。安易な行動は、パソコンやスマホの利用に大きな支障をもたらしかねず、自己破産後の生活にも悪影響が及びかねません。

自己破産に当たっては、弁護士とよく相談して、適切な準備や対策をしましょう。

泉総合法律事務所では、これまで多数の借金問題を自己破産で解決してきた豊富な実績があります。ここでは解説しきれなかった実務的なスマホに関するサポートも致します。どうぞ、お気軽にお問い合わせください。

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