債務整理

自己破産手続の即日面接とは?管財事件と同時廃止事件への振り分け

自己破産手続の即日面接とは?管財事件と同時廃止事件への振り分け

自己破産手続には、法律上の原則である管財事件(少額管財事件も含みます)と、例外的な同時廃止事件とがあります。同時廃止事件の方が一般的に時間と費用がかからないことから、泉総合法律事務所にご来所いただいた際に、「同時廃止手続でお願いできないでしょうか」とお願いされることがあります。

ただ、管財事件か同時廃止事件かという振り分けは、裁判所が決めることです。

東京地方裁判所では、この振り分けのために、「即日面接」というものを行っています。

そこで、ここではこの即日面接とはどのようなものかを説明します。

1.即日面接とは

即日面接とは、裁判官が同時廃止事件にするかそれとも管財事件にするか決めるために、申立代理人弁護士と面接する制度です。

東京地方裁判所独自の制度で、申立人が同時廃止事件を希望して自己破産を申し立てたときに利用できます。

(1) 申立ての日に手続を開始できる

即日面接に基づいて、裁判官は、同時廃止事件か管財事件かの振り分けを判断します。そして、同時廃止事件とすることに問題がないと判断した事案については、その日のうちに「破産手続開始決定」をしてしまいます。

申立てたその日に「即日」手続を開始するか決めてしまう。だから即日面接と呼ばれているのです。

【東京地裁にだけ即日面接制度がある理由】
東京地裁へは、他の裁判所よりはるかに多くの自己破産の申し立てがされています。
東京地裁を除くほかの多くの裁判所では、「免責審尋」といって、裁判官、代理人及び申立人の3人で話し合いをすることがあります。そのため、申立てから手続開始まで、2週間以上はかかります。
しかし、東京地裁では、このような運用をしていては、膨大な事件をスムーズに処理できません。ですから、即日面接により手続の負担を軽くしているのです。

(2) 即日面接のポイント

即日面接に出席できるのは、申立代理人となった弁護士だけです。申立人が出席することはありません。
つまり、本人申立てのときは利用できません。なお、司法書士など弁護士以外の士業は即日面接に出席できません。

即日面接にかかる時間はわずか10分前後です。しかも、基本的に二度目はありません。申立代理人弁護士は、そのわずかな機会に、裁判官に同時廃止事件にすべきと納得させなければならないのです。

しかし、借金をなくしてもらいたい申立人本人はその場にいません。
ですから、申立人本人が弁護士にどれだけ情報を提供しているか、弁護士が申立人の具体的事情をどれだけ把握しているかが、同時廃止を認めてもらうためのポイントになります。

即日面接に参加しない申立人も、事前に弁護士に十分な協力をすることが大事です。

どのような協力をすればよいのか?
その前提となる、「管財事件と同時廃止事件の違い」「振り分けの基準」について説明していきましょう。

2.管財事件と同時廃止

(1) 管財事件と同時廃止の違い

両者の違いは、一言で言えば、「破産管財人」という手続の監督人が選任されるかどうかです。

管財事件では破産管財人が裁判所により選任され、同時廃止事件では選任されません。
破産管財人は自己破産手続に関わる様々な処理をするのですが、申立人はその処理に協力することが法律上義務付けられています。そのため、心身共に負担が大きく手間が増えます。

費用面でも、管財事件のほうが負担は大きくなります。破産管財人には、申立代理人となった弁護士への報酬や、裁判所に納める手続費用とは別に、少なくとも約20万円を、原則として申立てまでに一括で支払う必要があります(東京地裁だと、申立て以降の分割払いが認められることもあります。)。

弁護士報酬も、同時廃止事件より管財事件のほうが高くなりがちです。

そのため、一般的には、同時廃止事件で自己破産をしたほうが、申立人にとっては有利と言われているのです。

(2) 手続振り分けの基準

破産管財人は、①申立人が持つ資産を債権者に配当すること、②申立人の「免責不許可事由」を調査することを主な職務としています。

自己破産では、「自由財産」と呼ばれる必要最低限の財産以外の財産は、債権者に公平に配当されます。借金返済を受けられなくなり大損害を受ける債権者のため、配当が正しく行われることは、手続上、非常に重要とされています。

一方、②の「免責不許可事由」とは、自己破産を許すには不適切な事情のことです。「免責」とは自己破産で借金がなくなること。免責不許可事由があると、免責が許可されなくなるおそれが生じます。

①や②を仕事とする破産管財人が必要ない場合、同時廃止事件に振り分けられます。

よって、申立人の資産の内容や金額・立人の免責不許可事由の有無や程度を主な基準として、管財事件か同時廃止事件かの振り分けが判断されています。

3.同時廃止を認めてもらうためにするべきこと

即日面接で同時廃止事件を裁判官に認めてもらうためには、自己破産の申立人であるあなたが、

  • 代理人弁護士に正確で具体的な情報を伝えていること
  • 求められた資料をできる限り早く全て提出すること
  • 法律相談以降の弁護士のアドバイスを守ること
  • よくないことをしてしまったら、すぐに弁護士に連絡すること

などが必要です。

即日面接に出席するのは代理人弁護士だけです。裁判官は申立人の借金や財産、自己破産するほどの借金をしてしまった事情を代理人弁護士に確認します。

当然ですが、代理人弁護士は、申立人とは別人です。そして、法律的な説明は、あくまで具体的な事実を材料として組み立てるもの。
申立人が代理人弁護士に十分な情報提供をしていなければ、法律の専門家である弁護士といえども、裁判官に対して適切な受け答えをすることはできせん。

そうなると、裁判官は、「本当は管財事件になるだけの財産があるのではないか」、「免責不許可事由があるのではないか」と疑ってしまいます。

財産隠しやウソの説明をしていた場合は、管財事件どころの話ではありません。ほとんどの場合は、免責不許可事由があっても、ほかの事情も考慮して免責を認める「裁量免責制度」で借金を免除してもらえます。

しかし、あまりに悪質な場合は本当に免責されません。「破産詐欺罪」という犯罪になるおそれもあります。

同時廃止事件にしてほしいからといって、弁護士にウソをつくことだけはどうかおやめください。

申立代理人となる弁護士とは、法律相談のときからしっかりとした協力をしていきましょう。
こまめに弁護士とコミュニケーションをとって、資料や情報を提供してください。

4.借金問題の解決は泉総合法律事務所へ

東京地裁の即日面接制度は、自己破産手続の期間を短くできる便利な制度です。
しかし、それはわずか10分前後の一発勝負。申立代理人となった弁護士が、裁判官からの厳しい質問に答え、同時廃止による自己破産手続が問題ないと説得しなければいけません。

弁護士の力量が必要なことはもちろんですが、申立人が弁護士に具体的な事情を把握させていなければ、裁判官が破産管財人による調査が必要だと判断してしまうおそれがあります。

東京地裁で同時廃止による自己破産手続を検討していらっしゃる方は、依頼した弁護士に自己破産に関わることを率直にお伝えください。

泉総合法律事務所では、東京地裁における自己破産手続について多数の解決実績があります。即日面接の経験豊富な弁護士も多数在籍しております。
債務整理に関するご相談は何度でも無料で行っておりますので、借金問題についてお困りの方は、ぜひ一度泉総合法律事務所にご来所ください。

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