債務整理

自己破産で車のローン(支払い中・返済済み)はどうなる?

自分の収入や財産では返済しきれない借金を抱えた場合、自己破産をすれば借金そのものを帳消しにできます。

消えてなくなる借金の中には、住宅ローンや自動車ローンなども含まれます。
自動車ローンを支払えず苦しんでいた人は、自己破産によって晴れてローンから解放されるわけです。

しかしこの場合、ローンで購入した車はどうなってしまうのでしょうか?
ローンを組んで買った愛車なので、手元に残したいと思う人が大半だと思いますが、はたしてその望みは叶うのでしょうか?

この記事では、自己破産と自動車ローン支払い中の車の関係について解説します。
自己破産を検討している人で、自動車ローンがまだ払い終わっていない方はぜひご覧ください。

1.自動車ローンと自己破産について

まずは、自己破産の概要を説明します。

自己破産は、何のリスクもなく借金をゼロにできる制度でありません。

自分の財産のうち、当面の生活に必要なものや差し押さえが禁止されているもの以外は、裁判所によって処分されてお金に換えられてしまいます。
そのお金は債権者に配当され、借金の弁済に充てられます。

それでも残った借金については、ようやく支払いを免除してもらえるのです。

そして「自動車」は、当面の生活に必要なものでも、差し押さえが禁止されているものでもありません。

つまり、自動車は没収の対象となっているのですが、ローンの有無によって以下のように扱いが分かれます。

(1) ローン完済済みの車の場合

ローンを支払い終わった車は、当然ながらお金を払った人の財産となります。

自己破産をすると一定の財産が処分されるため、車も処分されてお金に換えられてしまいます。

ただし、査定額が20万円を超えない車の場合、処分を免れることがあります。

車を売却してお金に換えるにも人件費その他の費用がかかります。
費用に見合わない車を処分しても割に合わないため、査定額の低い車は処分を免れるのです。

なお、車には法定耐用年数というもの定められており、これを過ぎると査定額が大きく下がることが通常です。

車種

法定耐用年数

二輪自動車(バイク)

3年

小型・軽自動車

4年

普通自動車

6年

例えば、軽自動車は4年で耐用年数を迎えると定められているので、購入してから4年経った軽自動車は価値が著しく下がり、処分されない可能性があります。

しかし、高額な車や人気の車種は価格が落ちにくいため、法定耐用年数を過ぎていても、管財人によりお金に換えられてしまう可能性が高くなります。

(2) ローン中の車の場合

まだローンを払い終わっていない車は、自己破産をすると原則として引き上げられてしまいます。

しかし、引き上げるのは裁判所ではなく、ローンの債権者です。

契約によって異なりますが、ローン完済前の車の所有権を持っているのは、車のローンを払っている人ではありません。ローンを支払ってもらうため、担保としてローンの債権者が所有権を握っているケースが大半です。

こういった状態を「所有権留保」と呼び、ローンを完済して初めて所有権が移ることになっています。

このことはローンの契約書に記載されているはずなので、所有権留保がされているかどうかを確認したい場合は、ローンの契約書をチェックしてください。

ローン中の車がある状態で自己破産をした場合、ローンの債権者は当初予定していた通りの弁済を受けることができなくなります。

困った債権者は、自己の所有権に基づいてローンの対象物である車を債務者から引き上げてしまいます。
その車を売却するなどして、債権者は少しでも多くの債権を回収しようとします。

結論として、自己破産をするとローン中の車は債権者によって引き上げられるため、手元に残すことはほぼ不可能となります。

2.自己破産でローン付きの車を残す方法

車を手放したくないと思っている方々のために、車を残すための可能性を探っていきましょう。

(1) ローンを完済する

ローンがあるせいで債権者に車を没収されてしまうということは、ローンを完済すれば債権者はそれを引き上げる必要はなくなります。

しかし、借金の支払が困難な状況下で自動車ローンだけを優先的に支払うと、他の借金を支払えなくなる可能性があります。

このような、特定の債権者のみを優遇するような返済のことを、法律的には「偏頗(へんぱ)弁済」と言います。

偏頗弁済は破産法で禁止されている行為であり、これをすると最悪自己破産をしても借金が免責にならない、つまり失敗するおそれがあります。

偏頗弁済を避けるために全ての債権者に分け隔てなく返済ができればいいのですが、そのような余裕がある人はそもそも自己破産をする必要がないはずです。

また、仮に自動車ローンを完済できたとしても、自分の財産になった自動車は自己破産をすることで今度は裁判所が選任する管財人によって換価されてしまいます。

車の査定額が著しく低い場合以外、この方法は絶対にとってはならない方法であるといえるでしょう。

(2) 第三者弁済を使う

自分でローンを払えない場合、親や親族に肩代わりしてもらえばローンを完済すること自体は可能です。これを「第三者弁済」と言います。

しかし、この場合もローンを完済した車は自分の財産となるため、自己破産をすると裁判所が選任する管財人によって換価されてしまいます。

査定額が低い車でなければ、手元に残すのは難しいと考えられます。

(3) 正当な理由を主張する(自由財産の拡張)

車の査定額が20万円を超えていても、正当な理由があれば裁判所の判断により処分を免れることがあります。

例えば、介護や病気の治療などに車が必要で、他に移動手段が見当たらない場合などは、裁判所が車の継続的な保有を認めてくれるかもしれません。

しかし「可能性がある」というだけで、必ず認めてもらえるわけではないのでご注意ください。

まずは弁護士に相談して見込みがあるかどうかを聞いてみて、可能性が低い場合は他の方法を検討した方がいいでしょう。

(4) 他の債務整理を検討する

自己破産以外の債務整理をすることで、車を手元に残せる可能性がアップします。

例えば「任意整理」をすれば、整理する債務から自動車ローンを外すことで、自動車ローン以外の借金の利息等を減額できます。
また、個人再生をすれば、ローンを完済した車について処分の必要はありません(車の価値によっては、手続後の弁済額が上がってしまう可能性はあります)。

また、「個人再生」では「別除権協定」というものを利用できる可能性もあります。

別除権協定は、従来通り自動車ローンを支払うことを条件に、自動車を手元に残せるような合意を債権者から得るものです。

ただし別除権協定を利用するには、債権者の合意以外に裁判所の許可も必要です。

裁判所が別除権協定を認めてくれるケースは、個人タクシーの運転手など、車が仕事に直結しているような場合に限定されることが多いのが現状です。多くの場合は認められないので、ご注意ください。

【名義変更・故意に査定額を下げることはNG】
自己破産で処分されるのは、自己破産をした本人の財産に限られます。家族などの財産は換価されません。
そのため車の名義を家族のものに変更して、処分を免れようと考える人がいます。
しかし、これは自己破産で禁止されている「財産隠し等」に当てはまる可能性が高いです。管財人から名義変更を否認されて、結局取り上げられて換価されてしまう上で、免責も受けられなくなる可能性が高いので、支払不能状態、つまり自己破産前の名義変更は絶対に行わないようにしてください。
また、「査定額が高いと車を処分されるのなら、査定額を下げればいいのでは?」と、故意に車を傷つけるなどして価値を損なおうとする人もいるかもしれません。しかし、わざと財産の価値を減じる、無料または低価で他人に譲るなどの行為も、自己破産をする上で禁止されています。

3.車を残す方法は弁護士にご相談を

このように、自己破産をするとローン中の車は債権者によって引き上げられます。
一方、ローンが終わった車は裁判所が選任する管財人によって換価処分されます。

査定額が20万円を下回る車は手元に残せますが、車が必要である正当な理由を主張する、または自己破産以外の債務整理をするなどの方法でも、車を処分せずに済む可能性があります。

まずは弁護士と相談して、車を残せる可能性を模索してみましょう。

弁護士に依頼すれば自己破産の注意点を教えてくれますし、複雑な手続きも代行してくれます。
裁判所によっては弁護士の存在を前提として自己破産を運用しているところもあるほどです。少額管財は弁護士が受任していないと利用できません。

自己破産の際は弁護士に依頼して、適切なサポートを受けることをお勧めします。

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