刑事事件

万引きの示談の重要性を解説

万引きが発覚した場合の示談の重要性を解説

万引きとは、ご存知の通り、店頭などに並べてある商品などを盗む行為のことです。
150円のおにぎりでも、10万円するブランドものの鞄でも、万引きであることには変わりありません。

万引きは中学生、高校生からお年寄りまで、様々な年齢層の方が犯す犯罪の1つです。最近では公務員やスポーツ選手、芸能人が万引きで捕まるという話も時折聞きます。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアでの万引き事件は頻繁に起こっていますし、本屋などでは転売目的での万引きが多く、経営に大きな影響を与えている、というニュースを見たことがある方もいることでしょう。

今回の記事では、この「万引き」で逮捕された場合の「示談」の重要性について解説します。

1.万引きは「窃盗罪」

万引きを犯すと「窃盗罪」が成立します。

刑法第235条
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」

「盗癖」「クレプトマニア(窃盗症)」などという言葉が存在することからも分かる通り、窃盗は再犯率の高い犯罪でもあります。

窃盗を繰り返すと、当然「反省していない」と評価されて、量刑が重くなります。

10年間のうちに窃盗罪で6月以上の懲役刑で服役を3回繰り返すなどの要件を満たし、窃盗行為が習癖になっていると評価されると、単なる窃盗罪ではなく、常習累犯窃盗罪(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第3条)となり、刑の下限が3年以上の有期懲役というとても重い刑で処罰されてしまいます。

2.万引きが発覚するとどうなるか

被害者が被害届を出すなどして万引き行為が発覚すると、捜査機関は捜査を開始します。

被疑者が判明した場合、万引き事件では、被疑者が犯行を認めており、家庭や職場がはっきりしているときは、在宅事件(通常どおり生活し、警察などに呼び出されたらその都度出向いて取り調べを受ける事件)として進行することもが多いです。

もっとも、被疑者に逃亡の恐れや罪証隠滅の恐れがある場合には、逮捕され、身柄事件(身柄が拘束された状態で取り調べを受ける事件)として進行することもあります。

その後、検察官が起訴の判断をし、裁判となった場合、初犯かつ被害金額が比較的安価であれば、刑事処分は懲役刑ではなく罰金刑になることが多いです。

一方、過去にも万引きを繰り返している場合、刑務所行きになることもあり得ます。

罰金刑でも懲役刑でも、「受けるべき刑が決まった」ということは、「有罪になった」ということです。つまり、「前科」がついてしまいます。

3.万引きで前科を避けるための「示談」

前科がついたことが知られると、職場で懲戒処分を受けたり、学校を退学となったり、公務員、医師、弁護士、会計士、税理士等一定の職業に就くことができなくなり、社会的な生活に影響が出る可能性は否定できません。

万引きで前科がつかないようにするためには、「被害者との示談」が大きなポイントとなってきます。示談とは、当事者間で話合い、犯罪事実を許す旨の合意を得ることを言います。

(1) 万引きにおける示談が大切である理由

万引きに限らず、逮捕から起訴まではある程度時間がかかります。
身柄事件の場合は最大で23日間ですが、在宅事件は数ヶ月かかることが通常です。

日本の刑事手続事件においては、起訴された場合の有罪率が極めて高く、身代わりや冤罪、違法捜査が存在した事案などの極めてまれな例外を除けば、事実上「起訴される=前科がつく」ということになります。

それを阻止するには、上の起訴までの時間のうちに、「不起訴」になるように活動しなくてはなりません。

万引きの場合、示談が成立していると、不起訴に持ち込める可能性がぐっと高まります。また、起訴された場合でも、示談が成立していれば量刑面で加害者に有利に考慮されるので、実刑を免れ(執行猶予が付く)たり、刑が軽くなったりする可能性が高まります

刑事事件の示談は、被疑者が謝罪し、被害者が示談金を受け取ることと引き換えに、宥恕条項(※)記載した示談書を作成します。
※「宥恕(ゆうじょ)」とは、寛大な心で許すことであり、「刑事処分を望まない」、「寛大な処分を希望する」などの文言を指します。

示談の成立により、被害が弁償され、被害者の処罰感情も失われるので、検察官が起訴・不起訴の判断をする際に、被疑者に有利な事情として考慮されます。

【示談に応じてもらえないケース】
なお、大手スーパーや書店、コンビニエンスストアチェーンなどは「被害弁償には応じるが示談には応じない」など、一律に万引きに対する対応を決めているところもあります(コンビニの場合は、被害店舗が直営店かフランチャイズかによって対応が異なることが往々にしてあります)。
その場合でも、被害弁償だけは済ませなくてはなりません。被害弁償は当然の民事上の義務ですから、それすらしていないということは、検察官の起訴・不起訴の判断において、被疑者に不利な事情として考慮されますし、起訴された後の裁判においても量刑を重くする事情として考慮されてしまいます。
万引き事件の場合、示談に応じない方針の店舗は多いものの、被害弁償を受け取らない店舗は少数派です(万引きによる損害が店舗経営に与えている影響は深刻なので、受け取りたくなくても、受け取らざるを得ないというのが実態です)。
被害弁償金の受け取りも拒否されてしまう場合は、弁償金を法務局に供託する、弁償金と同額の金銭を贖罪寄付し、犯罪被害者の家族などのために役立ててもらうなど、被疑者側ができる限りの努力をし、これを検察官・裁判官に理解してもらう必要があります。

(2) 万引きの示談交渉を弁護士に依頼するメリット

前科がつかないようにするためには、できるだけ早く被害者との示談を成立させなくてはなりません。

しかし、具体的な示談交渉の方法、示談書の書き方など、自分では判断がつかない、という方がほとんどだと思います。そのため、個人的に示談交渉をするのは非常に困難です。

そんなとき、必要なのは「弁護士」です。

弁護士に依頼をすると、相手方との示談交渉は弁護士が行うことになります。そのため、加害者本人の精神的負担がかなり減ります。

また、示談に際して、怒りの収まらない被害者側から不当に高額な示談金の請求をされる場合があることに注意が必要です。

そんな場合でも、弁護士であれば、過去の示談例を示し、被害者側の要求が過大であることを説明して説得に努めます。

それでも、被害者側が不当にも過大な要求を撤回しないため示談が成立しないケースもあります。

そのような場合には、被疑者側は相当な金額を提案して誠意を示したこと、示談の不成立は被害者の不当な要求に原因があることを検察官や裁判官に伝え、それを裏付ける交渉記録などの書類も提出し、示談不成立が被疑者に不利となることを防止します。

同時に、前述のとおり、被害弁償金を供託したり、贖罪寄付したりするなど、被害者の情状を有利にするための活動を並行して行うのです。

4.万引きの示談は弁護士にお任せ

最近では、店内の防犯カメラの性能も向上してきており、その場で現行犯逮捕されなかったという場合でも、万引きで後日逮捕されるというケースが増えてきています。

「大したお金じゃないので、払えばいいんでしょ?」と軽く考えている方もいるかもしれませんが、罰金を払うということは「前科がつく」ということです。

前述の通り、それ単体でも社会的な不利益の原因になりますし、万が一別件で刑事責任に問われることがあれば、前科の有無は結果を大きく左右する要素となります。

弁護士は、「前科がつかない=不起訴になる」ことを目指し、迅速に弁護活動を行います。

万引きでの逮捕や示談、前科などについて不安な点がある方は、是非一度早い段階で、泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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