交通事故

駐車場事故が起こったときの対処法|被害者が知っておくべき知識

駐車場事故が起こったときの対処法|被害者が知っておくべき知識

駐車場に車を停めようとしているときに、「車の間から急に人が飛び出してきた」「バックしているときに歩行者と接触しそうになった」という経験はないでしょうか?

また、駐車場を歩いている際には、車が密集して不規則な動きをとる狭い空間に不安を感じる方も多いと思います。

もし、駐車場で事故に遭ってしまったら……。ここでは、駐車場事故が起こったときの対処法と、駐車場事故について知っておくべき知識を解説します。

1.駐車場での事故について

道路交通法は駐車場での事故に適用される

最初に、駐車場は道路交通法の適用範囲なのかについて解説します。

駐車場での事故が他の交通事故と違うのは、道路交通法が適用されるかどうかが明確でないという点です。

というのも、道路交通法は、基本的に公道で適用されるものだからです。

「公道以外は無免許で運転してもかまわない」と言われることがあるのもそのためです。

(1) 道路交通法が適用になる道路とは

道路交通法の「道路」とは、次の3つになります。

ア 道路法第2条第1項に規定する道路:いわゆる公道です
イ 道路運送法第2条第8項に規定する自動車道:高速道路など、自動車の交通のために設けられた道路です
ウ 一般交通の用に供するその他の場所

アとイは公道ですが、ウは公道とは限りません。

ウの「一般交通の用に供するその他の場所」とは、不特定多数の人や車両が自由に通行できる場所であると考えられています。

つまり、不特定多数の人や車が行き交う場所は、公道と同じ扱いになり、道路交通法が適用になるということです。

(2) 駐車場事故も道路交通法違反になり得る

駐車場のうち、スーパーやコンビニ、飲食店などの駐車場は、不特定多数の人が自由に行き交う場所ですから、道路交通法の適用があります。

一方、自宅の駐車場や月極め駐車場などは、不特定多数の人が出入りするわけではありませんから、道路交通法の適用はないことになります。

つまり、不特定多数の人が出入りする駐車場での事故は、道路交通法の適用があり、負傷者の救護義務や警察への報告義務が発生するほか、道路交通法上の罰則やペナルティを受けることがあるのです。

それでは、道路交通法以外の法律についてはどうなのでしょうか?

(3) 駐車場事故でも刑法上や民法上の責任は当然生じる

交通事故で生じる刑事上や民事上の責任については、公道での事故かどうかは全く関係ありません。

人身事故を起こした運転者は、駐車場内で起きた事故であっても自動車運転過失致死傷罪などの犯罪を行ったことになり、道路交通法違反とは別に刑事責任を追及されます。

また、交通事故により他人の身体や生命を傷つけたり、他人の物を壊したりした場合には、民事上の損害賠償責任も発生します。

2.駐車場事故に遭った場合の対処法

(1) 人身事故の場合

道路交通法では、交通事故を起こした人に、負傷者の救護、道路上の危険防止措置、警察への報告という3つの義務を課しています。

駐車場で人身事故を起こした場合にも、前述の通り、道路交通法の適用がありますから、救護義務や警察への報告義務があることをしっかり認識しておきましょう。

駐車場で人身事故が起こった場合の流れは、大まかには次のようになります。

①警察への連絡・救急車の手配

駐車場で人身事故を起こした運転者は、負傷者の救護を行わなければなりません。

直ちに119番通報を行い、救急車が到着するまで可能な応急救護処置を行います。

また、事故の状況を確認し、警察へ連絡する必要があります。

警察には、事故の場所、負傷者の数や負傷の程度などを報告しましょう。

②実況見分(現場検証)

警察が現場に到着すると、実況見分と呼ばれる現場検証が行われます。

実況見分では、警察が事故現場を確認し、事故当事者に聞き取り調査を行います。

実況見分の内容は、実況見分調書に反映されます。

実況見分調書は損害賠償金額を左右する過失割合を決めるための重要な証拠になります。

③保険会社への連絡

事故後は自分の加入している任意保険会社の事故受付窓口に電話し、事故発生を伝えましょう。

加害者であれば当然ですが、自分が被害者の場合でも、事故報告は必要です。

任意保険には、被害者補償の特約が付いていることが通常です。加害者が任意保険に加入していない場合は、被害者側任意保険の無保険車傷害保険などを請求することが可能です。

また、人身傷害保険や搭乗者傷害保険に加入していれば、保険金がおりることがあります。

④病院の受診

交通事故に遭った場合、目立ったケガがなくても、事故直後に病院を受診しておくべきです。

事故直後に受診して必要な検査を受けておくことで、事故との因果関係が証明しやすくなり、スムーズに保険金の支払いが受けられるからです。

(2) 物損事故の場合

道路交通法では、物損事故であっても運転者には警察への報告が義務付けられています。

また、警察へ報告しなければ、交通事故証明書が発行されないため、保険金の支払いが受けられません。

物損事故の場合には、次のような流れで対応することになります。

①警察への連絡

警察へ連絡し、交通事故を起こしたこと、ケガ人がいない物損事故であることを報告します。

②事情聴取

警察が到着したら事情聴取が行われます。

なお物損事故の場合には、刑事責任は発生せず、実況見分調書も作成されません。

③保険会社への連絡

物損事故の場合にも、加害者、被害者とも、自らが加入している保険会社に連絡をしておきます。

保険会社への連絡には事故後60日以内などの期限が設けられていますので、忘れずに連絡しましょう。

3.駐車場事故の罰則

駐車場で起こった事故でも、加害者には公道で起こった事故と同様に道路交通法をはじめとする罰則が科されます。

特に当て逃げやひき逃げを行った場合には、厳しい罰則を科されることになります。

(1) 当て逃げ

道路交通法では、物損事故の場合でも警察への報告義務が課されます。

当て逃げはこの報告義務違反ということになり、道路交通法により罰則を受けることになります。

当て逃げの罰則は、1年以下の懲役または 10万円以上の罰金となっています。

(2) ひき逃げ

①道路交通法の罰則

ひき逃げは、道路交通法の負傷者救護義務違反、危険防止措置義務違反、警察への報告義務違反となります。

道路交通法で定められているひき逃げの罰則は、次のとおりです。

負傷者救護義務違反及び危険措置防止義務違反

5年以下の懲役または50万円以下の罰金

※事故を引き起こした運転者については、10年以下の懲役または100万円以下の罰金

警察への報告義務違反

3か月以下の懲役または5万円以下の罰金

②刑法上の罰則

ひき逃げをした場合、刑法の特別法である自動車運転処罰法で規定されている犯罪に該当することになり、次のような刑事罰を受けることになります。

自動車運転過失致死傷罪

7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金

危険運転致死傷罪

15~20年の懲役刑(※罰金刑はなし)

4.過失割合の算定方法

(1) 駐車場事故の基本の過失割合

駐車場事故でも、過失割合がどう認定されるかにより、損害賠償額が変わります。

駐車場事故の基本の過失割合は以下の通りとなっており、この基本の過失割合に様々な修正要素が加えられ、過失割合が決定します。

①駐車場での車対車の出会い頭事故

駐車場で、四輪車同士が出合い頭に衝突した事故の基本の過失割合は50:50となります。

②通路を進行する車と駐車区画から通路に進入しようとする車との事故

通路を進行する車をA車、駐車区画から通路に進入しようとする車をB車とした場合の基本の過失割合はA車:B車=30:70となります。

③通路を進行する車と通路から駐車区画に進入しようとする車との事故

通路を進行する車をA車、通路から駐車区画に進入しようとする車をB車とすると、基本の過失割合は、A車:B車=80:20となります。

④歩行者と車の衝突事故

駐車区画内または通路において、歩行者と車が衝突した場合の基本の過失割合は、歩行者:車=10:90となります。

(2) 駐車場事故では証拠集めが大切

駐車場での過失割合の算定は、公道に比べて難しくなっています。公道と違い、優先道路や信号機の設置もなく、どちらに過失があるのか分かりにくいからです。

そこで、駐車場事故の過失割合の認定は、当事者双方の言い分によって左右されるケースが多くなります。本来であれば加害者の過失割合が高くなるケースでも、被害者が不当に過失割合を引き下げられ、50:50に近い割合にされてしまう可能性もあります。

したがって、駐車場事故では過失の有無や程度を証明するための証拠を十分に集めて示談交渉する必要があります。

5.管理者責任

では、駐車場内で交通事故が起こった場合、管理者が責任を問われることがあるのでしょうか。

駐車場の管理者が駐車場の管理を適切に行っていなかったことが原因で事故が起こったとすれば、交通事故の責任を管理者にも追及できることになります。

以下のようなケースでは、駐車場の管理者に責任があるとされる可能性があります。

(1) 交通事故が駐車場内の環境に起因する場合

駐車場内に照明設備があるにもかかわらず、照明が切れていて見通しが悪くなっていたような場合には、駐車場管理者が管理をきちんと行っていなかったのが事故の原因とされる可能性があります。

(2) 駐車場の設備に起因する事故の場合

駐車場に設置されている設備(看板、車止め、フェンス、ポールなど)に欠陥があり、事故が起こった場合にも、管理者責任が問われることになります。

(3) 有料駐車場の場合

月極駐車場などの、賃貸借契約を結んで借りる有料駐車場の場合には、通常は貸主に管理責任があります。

管理が不十分だったため事故が起こった場合には、管理者にも事故の責任が生じる可能性があります。

6.交通事故のご相談は泉総合法律事務所八王子支店へ

以上、駐車場で事故に遭ってしまった場合の対処法と知識について解説しました。

駐車場事故を含め、交通事故には巻き込まれたくないものですが、不運にも事故の被害者となってしまったら、泉総合法律事務所にご相談ください。

交通事故の解決実績が豊富な弁護士が、納得のいく事故解決を責任もってサポートさせていただきます。

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