交通事故

「むち打ち」で後遺障害14級が認定された場合の慰謝料と逸失利益

「交通事故にあってから首や腰にあらわれた痛みがなかなか治らず、通院開始から何か月もが経過していた」
このような方は、医師から、「後遺障害」が残ったという診断を受けるかもしれません。

交通事故の被害者は、加害者側に対し、治療費や慰謝料などの損害賠償を請求できます。また、後遺障害が残った場合には、後遺障害慰謝料や、逸失利益を請求することもできます。

今回は、後遺障害として、いわゆる「むち打ち」が残ってしまった方に向けて、認定されうる後遺障害等級(14級)や、請求できる損害賠償などについて、わかりやすく説明します。

1.「むち打ち」の症状と、後遺障害認定までの流れ 

まずは、むち打ちの症状と、後遺障害認定までの流れなどまで説明します。

(1) むち打ちの症状

交通事故では、「むち打ち」の症状が発生することが多いです。

「むち打ち」は俗称であり、医学上の用語ではありませんが(診断名は「頸椎捻挫」などになることが多いです。)、事故の衝撃によって首が大きくしなり、そのときに首の筋肉や神経などを損傷してしまうために起こる怪我のことが、一般的に「むち打ち」と呼ばれています。。

むち打ちの症状の代表的なものが、首や肩、腕、手の痛み・痺れなどです。吐き気やめまい、耳鳴り、食欲不振などに悩まされることもあります。

なお、むち打ちは、大きな衝撃の発生する追突事故によって引き起こされることが多いですが、低速事故や軽度な事故によって発症することがあり、実は、発生の仕組みははっきりとわかっていない部分も多いです。

事故当日には痛みが生じなかったのに、事故の翌日に目覚めたら「首が痛い」などの症状が現れることもあるため、事故後数日は身体の痛みやしびれ、違和感に注意が必要です。

(2) 後遺障害認定までの流れ

むち打ちは、平均して、事故から1か月程度で完治しますが、場合によってはなかなか完治せず、そのまま後遺障害として残存こともあります。

具体的には、事故から3ヶ月〜6ヶ月が経っても完治しない場合、加害者側の保険会社から、治療打ち切りの打診があるのが通常です。

医師に相談してみて、「これ以上治療を続けても症状は残るだろう」と判断された場合は、後遺障害が残存したということになります。
後遺障害が残存したという医師の判断を「症状固定」と呼びます。

「症状固定」後の治療費や休業損害は、加害者からは払われません。

ただし、後遺障害が残ったということになりますので、後遺障害の認定を受けることで、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになります。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ってしまった場合に請求できる損害項目です。
後遺障害が残ってしまったことに対する精神的なダメージを補償するものです。

逸失利益

逸失利益は、事故がなければ将来得られたであろう収入を補償するものとなります。
後遺障害が残って、充分に働けなくなったことに対する生活保障の意味合いを持ちます。

2.後遺障害として「むち打ち」が残った場合の賠償金の相場

後遺障害として「むち打ち」が残った場合の、後遺障害慰謝料・逸失利益の相場をご説明します。

(1) 後遺障害14級に該当する場合の後遺障害慰謝料と逸失利益

後遺障害の等級は、自賠法施行令別表に定められており、1級から14級まで存在しますが(1級が最も重く、14級が最も軽い)、むち打ちは、14級に該当する場合が多いです。
よって、ここでは14級に該当した場合を念頭にお話ししてきます。

具体的には、自賠法施行令別表第2第14級9号に、「局部に神経症状を残すもの」という定めがあり、むち打ちの場合は、これに該当する場合が多いです。

なお、後遺障害等級については、基本的には、自賠責に認定してもらう必要があるところ、「後遺障害はあるのだけれど自賠法上の後遺障害にはあたらない(非該当)」こともありえます。

その場合、後遺障害慰謝料・逸失利益ともに請求できない場合が多いです。

さて、後遺障害慰謝料に関しては、等級ごとに金額が定まっています。

14級の場合は、弁護士基準(裁判基準)なら110万円です。
加害者側の保険会社は、独自の基準をもとに、より低い金額での賠償を提示してくることが多いですが、弁護士に依頼すれば、基本的に弁護士基準(裁判基準)で交渉することになるため、賠償の増額が見込めます。

次に、逸失利益は、【基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数】で計算します。

基礎収入は、サラリーマンなら事故前年の年収、専業主婦なら女性の平均収入にて計算するのが通常です。
労働能力喪失率は、14級の場合は5%と定まっています。

(2) 後遺障害14級と12級との違い

後遺障害としてむち打ちの症状が残った場合、14級ではなく12級が認定されることもあります。

具体的には、自賠法施行令別表第2第12級13号に、「局部に頑固な神経症状を残すもの」という定めがあり、これにあたる場合には12級認定ということになります。

12級の慰謝料は、弁護士基準(裁判基準)では290万円となり、14級よりずっと高額になります。

先ほどみたように、14級の場合は「局部に神経症状を残すもの」、12級の場合は「局部に頑固な神経症状を残すもの」なのですが、具体的にはどのような場合に12級に該当しうるのでしょうか。

一般的には、「障害の存在が医学的に証明できる」場合は12級、「障害の存在が医学的に説明可能なもの」あるいは「医学的には証明できなくとも自覚症状が単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの」が14級に認定されるものとされています。

具体的には、レントゲン画像等の画像所見からは確認できないものの、負傷部位や治療経過、医師の診断によると、その症状が合理的に説明できる場合は、14級に該当しえます。

他方、レントゲン画像やMRIなどの他覚的所見から、症状がはっきり証明できる場合は、12級に該当しえます。

3.後遺障害14級認定のためのポイント

最後に、むち打ちの症状があるとき、後遺障害認定のために被害者が知っておくべきポイントをお伝えします。

(1) 痛みや症状が残る場合は通院を続けること

先ほど記載したように、事故から3ヶ月〜6ヶ月が経っても完治しない場合、加害者側の保険会社から、治療打ち切りの打診があるのが通常です。
この場合、保険会社に、「もう少し治療させてくれ」と申し出ても、治療を打ち切られてしまうこともあります。

しかしその場合でも、痛みや症状が残っている場合は、健康保険などを使って、治療を続けてください。

怪我をして、苦しいから治療をするのであって、治療費が払われなくなったら治療をやめたとあっては、後遺障害が認定されにくいです。

また、実務上、症状固定まで6カ月未満の場合、後遺障害の認定率が低くなるといわれており、その意味でも、治療を続けて、6カ月経過後に症状固定の判断をしてもらうというのが、理想的です。

また、通院は事故直後から継続してコンスタントに行くようにすることも大切です。

(2) 必要な検査を行う

むち打ちは、画像検査上は、異常が見つからないことが多いです。

先ほど記載したように、14級認定のためには、画像所見までは不要ではあるのですが、医学的な異常が全くないとなると、14級にも認定されないことがあります。
そこで、画像所見がない場合でも、神経学的検査を行ってもらうようにしましょう。

具体的には、「スパーリングテスト」や「ジャクソンテスト」などの検査が一般的です。必要な検査は全て行うことが大切です。

(3) 医師に一貫した説明をし続けること

また、後遺障害を認定してもらうためには、事故直後から症状が継続していることが必要です。

しびれや痛みが継続していることが、後遺障害認定において必要であり、「たまに痛む」程度の場合は認定されないこともあります。

どれくらいの頻度で、どのような症状が続いているのかは、しっかりと医師に説明しましょう。

4.後遺障害14級の申請は泉総合法律事務所にご相談を

「むち打ち」は、裂傷や打撲などと違って、外部からはわかりにくい怪我です。そのため、痛みや症状の辛さを周囲に理解してもらえないこともあります。

それは、お金で代えることのできる苦しみではありませんが、症状が長期間にわたり続いて、症状固定となったのならば、せめて、後遺障害等級認定を申請し、適正な賠償を受けるべきです。

先ほど記載したように、むち打ちは、画像所見からも確認できないことも多く、認定が難しいケースもあります。
事故内容、診断結果、検査結果などの総合判断になる場合も多いですので、なるべく早い段階で、まずはご相談ください。

泉総合法律事務所は、後遺障害認定手続きにも多数携わっており、希望等級獲得事例も多くあります。
後遺障害等級認定で疑問がある場合は、お気軽にご相談ください。

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