交通事故のむち打ちで賠償金を手に入れるために|初診での注意事項
交通事故、特に追突事故に遭われてしまった方で、首や背中、手などの上半身の痛みやしびれ、めまいや吐き気がありましたら、むち打ちになっている可能性があります。
むち打ちでは、初診がとても大切です。
賠償金を手に入れるには、一週間以内に診断を受ける必要があります。症状や事故の内容をできる限り正確に話すことで、損害賠償請求のための証拠を残さなければいけません。
これ以上回復しない「症状固定」の段階になっても症状が残っている、つまり、後遺症が残ることもあります。そのときは、「後遺障害等級認定手続」で「後遺障害」に該当するという認定を受けないと、後遺症の分についての損害賠償金を受け取れません。
後遺障害と認定されるためにも、初診の時期や医師への説明、検査結果などが重要になります。
ここでは、交通事故でむち打ちになってしまった方が初めて病院で診察を受けるときの注意点について説明します。それ以降の通院でのポイントも最後に触れましたので参考にしてください。
このコラムの目次
1.事故後すぐに病院へ行く必要性
事故後に以下のような症状を感じたら、出来るだけ早く「交通事故に遭った」と言い、医師に診察してもらいましょう。
2〜3日以内、どんなに遅くとも1週間以内に診断を受ける必要があります。
- 首や背中の痛み
- 頭痛
- めまいや吐き気
- 手足の痛みやしびれ
- 力が入りにくい
- 細かい動きがしにくい
- イライラ、疲れやすい、気分が沈む、よく眠れないなど
初回の診察が遅れると、症状が交通事故のせいであるという証拠がないとして、損害賠償請求できなくなってしまうおそれがあります。
むち打ちの症状である痛みやしびれなどは、日常生活の中でもよく生じるものです。事故から初診までの間に、「転んだ」「つまずいた」などの交通事故以外の原因があったと疑われてしまうのです。
むち打ちはあとから症状を自覚することも多いので、なおさら余裕はありません。
交通事故のあとに体に異変を感じたら、すぐに病院に駆け込んでください。
交通事故による症状は、整形外科に通院してください。整形外科以外の病院への通院は、たとえ初診だけであっても、賠償金の金額や後遺障害等級認定の審査で不利になってしまうおそれがあります。
整骨院は「医療機関」ではないため、「診断書」を書いてもらえません。整骨院でむち打ちだと言われても、損害賠償請求をするための証拠を作れませんので注意が必要です。
整形外科への通院中に、医師から受けた具体的な指示に従った場合には、整骨院での施術費が損害賠償請求として認められることはありますが、少なくとも初診は整骨院ではなく整形外科を受診する必要があります。
2.初診における注意点
(1) 症状を正確に医師に伝える
医師には、自覚している症状をどんなに些細なものでもすべて話しましょう。
症状の内容・場所・生じた時期はもちろん、交通事故の内容についても、具体的な様子や現場の状況・事故による衝撃の向き・衝撃の強さなども、できる限り医師にお伝えください。
むち打ちでは、ほとんど自覚症状しかありません。自覚症状は、あなただけが感じられる症状です。それを医師に丁寧に伝えて、カルテや診断書に証拠として残してもらう必要があるからです。
交通事故によるむち打ちが原因の症状には、いくつかの特徴があります。初診での自覚症状の説明は、あなたの症状がむち打ちによるものだということを証明する証言の第一歩としてとても重要になります。
(2) 診察前の問診表は具体的に記入する
損害賠償請求をするうえでは、診断書やカルテなどだけでなく、様々なものが資料となることがあります。
初診のときに記入する問診票もその一つです。できる限り丁寧に記入をしましょう
会話ではすべて正しく伝えきれるとは限りません。また、医師が初診での診察であなたが話したことをすべて正確にカルテや診断書に記入してくれるかもわかりません。
そこで、医師を介さずに被害者の方自ら、事故直後の一番信頼できる時期の資料として、問診票がカルテや診断書のミスを指摘するための武器になることがあります。
3.初診後の通院の注意
初診のときにここで説明したポイントを押さえておけば、賠償手続はもう大丈夫!というわけでもありません。
初診で細心の注意を払うことは必要で大切ですが、通院期間中も様々な点に注意しなければ、怪我の賠償金が不十分になり、後遺症が残ってもその賠償金が手に入れられる可能性が低くなってしまいます。
(1) できる限り早くに多くの精密検査をする
むち打ちに関する検査には、画像検査(MRI検査など)、神経学的検査(体に刺激を与えて神経の損傷を確認する検査で、腱反射検査など)があります。
画像検査や神経学的検査で異常が見つかれば、後遺障害の等級が認定されやすくなり、もらえる賠償金の額が高くなる可能性があります。
(2) 定期的に通院する
1か月以内の間隔で、定期的に通院しましょう。
1か月以上の間隔を空けてしまうと、それ以降の通院の医療費などについて、因果関係が認められずに医療費などが請求できなくなるおそれがあります。
実務上、後遺障害等級認定を受けるには、原則として6か月間以上にわたって週に2〜3日の通院が必要となっています。
(3) 前の通院以降の期間についての症状を話す
症状の自然さ、一貫性は通院中も当然必要です。さらに、通院中には「症状がだんだんと回復していること」もポイントになります。
通院中は、「前の通院からその時その時の通院までの間の症状の平均的な様子」を話してください。
診察の時の自覚症状の感じたままに話すと、むち打ちの症状には波がありますから、回復と悪化を繰り返しているように医師や保険会社などに思われてしまいます。
(4) 整骨院は医師の指示通りに通う
整骨院への通院に関しては、原則として医師の指示がなければ損害賠償の対象となりません。
また、整骨院で医師が診断していない部分の体に施術を受けると、症状が一貫してないとされるおそれがあります。
4.むち打ちは治療段階からご相談ください
交通事故でむち打ちになったら、どれだけ早く病院に行って丁寧な説明をし、医師の診断を受けられるかが勝負です。
弁護士に依頼すれば、賠償金が増える可能性が高まります。
弁護士が被害者の方の代理人となり、裁判の可能性が生じると、任意保険会社も保険金の支払額を上げてくれることがほとんどだからです。
ところが、初診の段階で被害者の方が不適切な対処をしていると、残念ながら、弁護士としてもどうしようもなくなることもあります。
泉総合法律事務所には、交通事故の経験が豊富な弁護士が多数在籍しております。
交通事故でむち打ちとなってしまった被害者の皆様の、お早めのご来訪をお待ちしております。
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