交通事故

下肢欠損の後遺障害等級と慰謝料・逸失利益

交通事故で足を失ってしまった「下肢欠損」では、弁護士に依頼して損害賠償金の相場を上昇させ、将来の収入に対する悪影響が大きいことを保険会社に対してしっかりと主張してもらうことで、損害賠償金額を増やすようにすることが大切です。

足のどの部分を失ってしまったかはだれの目から見ても明らかですから、後遺障害等級認定手続の中で認定される等級が問題になることはさほどありません。

しかし、義足の発達や仕事の内容により、足を失ったことで将来の収入にどれだけ悪影響が生じるかについては保険会社との示談交渉の中で争われやすいのです。

ここでは、下肢欠損の後遺障害等級、後遺障害慰謝料、そして逸失利益について説明します。

1.下肢欠損と後遺障害の等級

交通事故による後遺症は、後遺障害等級認定手続で後遺障害の等級に該当すると認定されることで、後遺症についての損害賠償請求ができるようになります。

等級とは、後遺障害を症状の重さに応じてクラス分けしたもので、損害賠償の金額や計算項目の目安が定められています。

「下肢の欠損障害」でいう「「下肢」とは、足全体を指します。
なお、足の指は、下肢とは別の部位として別途後遺障害等級が定められています。

下肢と足指は、足指からかかとに向かって伸びている骨の付け根の関節で区切られます。
この関節は「リスフラン関節」と呼ばれています。

下肢欠損による後遺障害の等級、ひいては後遺障害について損害賠償請求できる金額の目安は「足をどこで切断してしまったのか」「両足か片足か」の二つのポイントにより、1級、2級、4級、5級、7級のいずれかに決まります。

 

両足

片足

●ひざ関節以上

①足全体

②太ももの途中から先

③ひざから先

のいずれかを失ったとき

1級

4級

●足関節以上

①ひざと足首の間から先

②足首から先

のいずれかを失ったとき

2級

5級

●リスフラン関節以上

①足の甲から先

②足指から延びる骨の付け根から先

のいずれかを失ったとき

4級

7級

2.後遺障害慰謝料と逸失利益

後遺障害に関する損害賠償金の中では、以下の二つが特に大切です。

  • 後遺障害慰謝料:後遺障害による精神的苦痛に対する損害賠償金
  • 逸失利益:後遺障害のせいで将来仕事や家事に支障が生じるために手に入れられなくなったお金

また、交通事故における損害賠償金の相場の基準の影響も大きいです。

弁護士に依頼することで任意保険会社が支払う損害賠償金が一気に跳ね上がる可能性があります。

任意保険会社は、被害者様が弁護士に依頼すると、裁判の手間やリスクを回避するために、これまでの裁判所の判断をまとめた高額な基準、「弁護士基準」に近い金額での和解に応じることが多いからです。

下肢の「欠損」では後遺障害等級認定自体は争われにくく、また、等級が高いため弁護士の介入による増額幅も大きくなっています。

ほとんどの場合は、弁護士費用を踏まえても弁護士に依頼するメリットがあるでしょう。

(1) 後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、その金額の目安が等級に応じて決まっています。

等級

後遺障害の内容

自賠責基準

弁護士基準

1級

両下肢をひざ関節以上で失ったもの

1150万円

2800万円

2級

両下肢を足関節以上で失ったもの

998万円

2370万円

4級

1下肢をひざ関節以上で失ったもの

 

両足をリスフラン関節(足指の骨の付け根の関節)以上で失ったもの

737万円

1670万円

5級

1下肢を足関節以上で失ったもの

618万円     

1400万円

7級

1足をリスフラン関節以上で失つたもの

419万円

1000万円

なお、上記の自賠責の後遺障害慰謝料の金額は2020年4月1日以降に発生した事故の場合の金額です。
2020年3月31日までに発生した事故で下肢欠損となった場合には、少し金額が低くなります。

(2) 逸失利益

逸失利益は、後遺障害のせいで将来仕事や家事に支障が生じるために手に入れられなくなったお金を一括払いで補わせる損害賠償金です。

後遺障害慰謝料以上に高額になる可能性がある一方、弁護士に依頼して保険会社との交渉をしっかりと詰めなければ妥当な金額が手に入らないおそれもあります。

逸失利益は、おおざっぱに言えば、以下を掛け合わせた金額から、将来利息を差し引いた金額となります。

  • 基礎収入:事故前年の年収または平均賃金など
  • 労働能力喪失率:労働能力が低下した割合
  • 労働能力喪失期間:後遺症のせいで収入が減少する年数で、一般的には事故時から67歳まで

この中でも特に注意が必要なものは②労働能力喪失率です。

等級表では逸失利益の金額そのものは決められていません。①基礎収入や③労働能力喪失期間は、被害者様それぞれで異なるからです。

その代わり、収入を得る能力「労働能力」がどれだけ失われたかを示す「労働能力喪失率」の目安が定められています。

等級

後遺障害の内容

自賠責の後遺障害等級表が定める労働能力喪失率

1級

両下肢をひざ関節以上で失ったもの

100%

2級

両下肢を足関節以上で失ったもの

100%

4級

1下肢をひざ関節以上で失ったもの

両足をリスフラン関節(足指の骨の付け根の関節)以上で失ったもの

92%

5級

1下肢を足関節以上で失ったもの

79%

7級

1足をリスフラン関節以上で失ったもの

56%

しかしこれはあくまで目安です。具体的な事情では大きく変わる可能性があります。
その事情としては、職業・年齢・性別・後遺症の部位・程度・事故前後の稼働状況などがあげられます。

特に下肢欠損では、「デスクワークならば労働能力に悪影響は及ばないのではないか」「義足を装着することで労働能力がさほど低下しないで済むのではないか」など、労働能力喪失率を引き下げる要素があり得ます。

上記の減額要素を考慮する中で、今、そして将来の労働能力への悪影響が過少に見積もられてしまうことも考えられます。

本来手に入れられたはずの逸失利益よりも不当に低い金額になってしまわないよう、義足に関する不利益や将来の仕事への悪影響に関する事情を細かく積み上げて交渉しなければいけません。

 

弁護士に依頼する目的は、損害賠償金の相場を弁護士基準に近づけるためだけではありません。

逸失利益を増額するべき理由へと具体的な事情を組み立て、保険会社に対抗するためにも大切なのです。

3.その他の損害賠償金

(1) 義足の費用など

義足の購入代金や装着施術料も損害として賠償請求できます。

数年ごとに交換が必要ですから、将来の交換費用も一括して請求することになります。

(2) 介護費用

義足には限界があり、家族に介護してもらっている、介護サービスを利用しているといった場合、介護費用を請求できることがあります。

もっとも、適正な金額の支払いを受けるには、日常生活で生じている問題・介護の実態などを具体的に主張し、金銭的な損害が将来続いてしまうと証明することが必要です。

4.まとめ

交通事故で足がなくなってしまった、そのショックはあまりにも大きいことでしょう。

それでも、これから先の人生のためにはより多くのお金が必要になるという事実は変わりません。

下肢欠損の障害認定自体はスムーズに行えても、損害賠償金の金額、特に、逸失利益・義足の費用などについては、弁護士に依頼して保険会社との交渉を任せなければ、保険金を値切られてしまうおそれが高いのです。

保険会社から支払額の提示があったら、それが本当に妥当なのか、これ以上どれだけ増額できる見込みがあるのか、弁護士に相談しましょう。

泉総合法律事務所は、これまで多数の交通事故被害者の方の損害賠償請求をお手伝いしてまいりました。
下肢欠損で損害賠償請求をご検討の方は、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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